芸術について。
突然だが、読者の皆様は芸術に興味があるだろうか。私はない。
まだ手の爪を弄っている時間の方が幾分か好きである。
面白くない授業中にやりがちな行為だ。読者の皆様も週に2~3時間は弄られていることだろう。
話を戻そう。
芸術に「興味がない」というのは正確ではない。
単純に「わからない」のである。
何故だろうか。今回はその理由をアートを理解できない私の目線で身勝手に語っていきたい。
私は芸術に興味ある人間が知的でカッコいいと思ったこともあるし、気取って美術館に行ったこともある。ベクシンスキーの絵が好きだとドヤ顔で言ったこともあれば、ネットで読んだだけの絵の知識をひけらかしたこともある。
死にたくなってきた。
こんな私だが、ラッセンは好きだ。ジグソーパズルの店でしか目にしたことがないが、ピカソよりは普通に好きだ。
ラッセンの絵画たち。
思うに、ラッセンの絵は「わかりやすい」のではないか。
"幻想的"というワードを絵という形で具現化したかのような、一目見て瞬間的に理解できる美しさがある。
この上なくわかりやすい。
ああ、綺麗だな。と何の抵抗もなく思わせてくれる。
少なくとも私はそう思う。
さてここでピカソである。
いやわからん。
ピカソの「泣く女」という絵である。
これは本当に泣いているのか?何を食べているんだ?顔色悪すぎないか?
見た瞬間に浮かんでくるのは、多くの疑問に他ならない。
まさに「わかりにくい」絵画ではないだろうか。
当然、馬鹿にしたい訳ではない。むしろ、この絵画の素晴らしさを理解できない私こそ馬鹿にされるに値する人間なのだろう。だが、本当にわからない。逆に、これを一目見て素晴らしいと思える人間が本当にいるのか?
我々は、この絵がピカソの絵であることを知っている。また、ピカソが歴史に名を残すような素晴らしい芸術家であることもまた知っている。
だが、それを知らなければどうだろう。何も知らない状態でこの絵を見て、果たして素晴らしいと思えるだろうか。間違いなく私は無理である。
(ギャルでももう少しマシなまつ毛だ) とか、(ブラックジャック最終形態かな?)とか、そのような感想しか出てこないだろう。
いや、冷静になろう。これは単に私の感想が酷いだけである。そしてブラックジャックに最終形態などない。
この絵の解説をしているサイトがあった。その一部を引用したい。
スペイン内戦が続く中、ゲルニカとほぼ同時期に描かれたピカソ「泣く女」。激動の時代を取り巻く不安と緊張感が造形と色彩のコントラストに表わされ、第二次世界大戦へと向かっていく重苦しい社会的雰囲気すら感じとられるようだ。もちろんピカソ本人の人生における葛藤や苦悩なども無関係ではないだろう。
いやもう背景知識ありきじゃん。完全にメタ的なやつじゃん。
ピカソの人生やその時の時代背景を踏まえて解釈しないといけない時点で、絵画としては負けではないかと思えてしまうのは私だけなのだろうか。
とはいえ、理解不能だと思う自分がいる一方で、自分には決してこのような絵は描くことができないだろうなとも思う。 たとえ私に圧倒的なテクニックがあったとしても、だ。
技術とかそういう次元を超越しているように感じられる。当然、何の知識もない私がそう感じた。というだけの話だが。
それではこちらはどうだろう。
いや書けるわ。
パソコンのお絵かきソフトで書けるわ。
ブリンキー・パレルモという画家の作品である。
この絵に約1億6000万円の価値があるそうだ。
パレルモが好きでたまらない方々には本当に申し訳ないが、全く理解ができない。この絵に1億6000万円の価値があるならば、私の絵だって1万円くらいで売れても良いはずだ。
こちらもネットで解説などを調べて見たが、残念ながら良いものは見当たらなかった。見つかったのは、「さすがパレルモだ」などと手放しで褒め称えるようなものばかりであった。もはや宗教の域ではないだろうか。
理解し難いのは何も絵画だけではない。
いや、飲み会後の大学生。
もはや何か変わったモノを作ろうとしているだけなんじゃないかと思えてしまう。
作者には本当に申し訳ないが、信念だとか作品に込めた思いだとか、そういうものを感じ取ることができない。
そして改めて思うが、高度な知識や尖った感性がなければ、素晴らしさやそこに込められたものを理解できないようで、果たして本当に自己表現として成り立っているのかが私には疑問でならない。
特に現代アートと呼ばれるものは、知識を共有している限られた人々が内輪で盛り上がっているようにしか思えない。その上で、芸術に精通している者に、芸術を理解できないことで見下されているような気がするのが腹立たしい。
これは甘えに他ならないのだろうが、やはり直感的に「わかりやすい」ものであって欲しいと思う。
などと色々身勝手に述べてはみたが、結局のところ私には芸術に関する知識がほとんどない。
きっとこの記事も、アートが好きな方々にとっては不愉快極まりないものであったに違いない。無知な状態で、適当なことを長々と書き連ねてしまったことを謝罪したい。
しかし、アートに関する知識を持たぬ者、少なくとも私にとっては、芸術作品を見て抱く感想は上記のようなものであるということもまた事実である。
とはいえ、いつまでもこのような目線で芸術作品を見続けるのは情けない。
しっかりと勉強し、芸術をもっと深く違った見方ができるようになりたいと思う。
そして今よりもいくらかマシな見方ができるようになった時に、この記事を読み返して過去の無知な自分を恥ずかしいと思えるようになりたいものだ。